物語を表現する会社案内

箔一ブランドブック
CL:株式会社箔一/伝統工芸

企業の取り組みを伝えたい

金沢箔総合メーカーの箔一は、世界にも例を見ないユニークな企業です。450年もの歴史を持つ金沢箔を扱う伝統産業ながら、その顧客は高級ホテルや欧州の一流ブランドにも広がっています。極めて現代的でありグローバルな取り組みを行っています。

同社は伝統工芸についての捉え方が違います。古いものを守ることではなく、人々に必要とされて続いていくものこそが伝統であると考え、常に新しい挑戦を行っています。補助金等で保護される「文化」であるよりも、自らの足で立てる「産業」であることを志向し、事業を伸ばしていきました。

箔一の強みは多様性にあります。箔は極めて薄くあらゆるものを加飾できるのみならず、食用や化粧品材料としても高い需要があります。さらに、あぶらとり紙のような派生商品や、地域文化として観光産業の有力コンテンツにもなっています。

こうした特徴は強い収益構造を支える一方で、会社の全体像が分かりにくくなる面もありました。

一つ一つの取り組みへの想いを語る

多彩な事業は、すべて一つの理念に紐づいています。外からみれば様々なことをやっているように見えても、実際にはやっていることはたった一つともいえます。それは「金沢箔の伝統を守る」ことでしかありません。

そうした背景から、箔一の会社案内を作りなおすプロジェクトが動き始めました。事業内容ごと紹介や、羅列的な沿革といった従来型の会社案内の定番ページはなくなりました。雑誌的な編集方針を持ち込み、特集とコラムを中心の構成としました。特集では、箔一の歴史と商品を時系列で紹介し、それぞれの取り組みの背景や想いを付け加えることでストーリー性を感じるように工夫しています。

また社長の想い、数々のコラボレーションの実績、さらにはSDGsへの取り組みなど、同社が手掛けたことを広く紹介しています。

新しい会社案内の形

このパンフレットは、従来の企業パンフレットとは大きく違っています。まず、仕事を獲得するという目的をほとんど意識していません。そのため、商品の価格はおろかカテゴリーや見積もり問い合わせなどもありません。

このブランドブックにあるのは、純粋に自分たちのことを知ってほしいという願いだけです。しかしながら、そうした姿勢がまさに信念を表しており、取引先に好感されて、結果として有効な営業ツールとなっています。このようなブランドブックを作るということ自体が、理念経営への意思表示であり、メッセージにもなっています。

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特集
  1. 顧客との距離を縮めたい

  2. 物語を表現する会社案内

  3. 企業理念から物語を生み出す

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