2020年代になって、「ひとり広報」という言葉を聞くようになりました。これをタイトルに冠した書籍も、複数出版されています。
多くの企業で広報活動の重要性が認識されてきたものの、特に中小企業では広報に大きな予算を掛けることができないため、たった一人で広報業務の全般を担わなければならないという人が増えてきたということのようです。
広報の2つの分野
広報には、大きく分けて2つの分野があります。メディアへのリリースと自社発信です。
前者には、ある種の営業マインドが求められるでしょう。メディアの性質を理解し、自社の取り組みを求るられる形に変えて提供していくスキルが必要です。また取材対応の際には、社内調整などの地道な仕事もこなさなければなりません。
自社発信に求められる能力は、コンテンツの制作力です。取材力と文章制作のみならず、写真撮影や、動画編集、簡単なグラフィック作成なども、今では広報の仕事となっています。一流と言えなくとも、これらをまんべんなくこなせる担当者がいれば、情報発信力は格段に伸びていきます。
ひとり広報に最も大切なこととは
そして、広報戦略の推進においてなによりも重要なのは経営者の理解だといいます。
経営者が、広報は無料の取材を獲ってくる、コスパの良い広告手段だと思っていると、なかなかうまくいきません。それが広報の本質ではないからです。日本広報学会の定義に従えば、広報とは「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である」とされています。きちんと自社の経営理念やパーパスを策定し、それを自社に浸透させて理念と行動を一致させ、その姿を広く社会と共有することで、共感と信頼を広げていくのが広報の役割です。その地道な作業を、経営陣と担当者が共有することが成功の必要条件となります。
経営の理解が企業の広報力をあげる
現代において、広報は極めて重要な部門となりました。経営が広報の本質を理解し、現場に情報発信にまつわる多様なスキルを持った人材がいれば、企業が生まれ変わることもあり得るでしょう。
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