人事が企業を変える

現代の経営課題のなかで、「人事と広報」/「企業理念とブランド」の関係性が、とても近いものとなってきています。それを考えるきっかけになるのが本書です。

変わる企業価値への考え方

企業価値を測る要素が変わりました。かつて企業の価値は時価総額であり、資産価値でした。しかし、現在では本当の企業価値は、バランスシートに反映されないような無形資産にあると考えられています。無形資産のなかで代表的なものは、ブランドと人材でしょう。

人はコストでなく、資産である

こうした考え方の変化を背景にして語られるのが、人的資本経営です。人件費は財務的にはコストですが、そうした捉え方をしている限り、いかに抑制するかという考え方に縛られます。人は資産であり資本であると捉えたとき、新しい企業価値の物差しが生まれます。なお資産とは現在価値であり、資本は利用価値と定義されるそうです。人的資産とは今現在どれだけ有能なスタッフを持っているかの指標であり、人的資本とはどれだけ活用できるかの指標です。ここには、外部人材も含めることもできますので、外部に優れた協力者を抱えることも大切でしょう。

新しい企業と社員の関係性を

個人と企業の関係性も変わっています。これまでは、終身雇用が前提となってきました。会社は社員に安定を提供し、社員は会社に忠誠を提供するというのが、これまでの関係性の基礎だったでしょう。しかし現在では、社員にロイヤリティを求めるような企業姿勢は、歓迎されません。社員には夢ややりがいを与え、契約や慣例で縛られた関係性ではなく、たがいに自由意思で結びつく主体的な関係性が求められています。

いつかトヨタの社長は、「社員の方は、高いスキルを身に着け、トヨタ以外のどこでも活躍できる。そうした人材になってほしい。私たち経営者は、どこでも働ける皆さんが、あえてトヨタで働きたい、そう思ってくれる会社を作ることが責任です」といった趣旨の発言をされていました。本当にその通りだな、と思います。

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