『経営理念2.0』は、現代的な企業理念と経営の関係性について考えた書籍です。
1人ひとりが考える組織へ
経営理念を丸暗記して、一斉唱和をさせる会社はいまも少なくないでしょう。ただ、学校教育が「暗記型」から「思考型」に変わっていくように、社員教育も進化すべき時代にきています。思考型の経営理念とは、社員がその本質を自分のこととして理解し、行動に落としこんでいる状態の事です。
思考型を選べば、経営理念の意味は一人ひとりで変わっていきます。これを許容するということは、自由な発想を認める自律型の組織を目指すということになります。しかし、自律型の組織にも問題はあります。基準があいまいになりがちで、結果的に決定権をもったトップへの忖度が強まることがしばしば起こります。やがて社内政治で物事が決まるようになり、優秀な人間ほど嫌気がさして辞めていきます。それであれば、個性を認めず、明確なルールと規律を重んじる軍隊のような組織のほうがまだましです。
大切なのは関係の質
自律型組織に変わっていくには、4つの質を考える必要があるといいます。まずは「関係の質」を高めることで、「思考の質」が高まります。すると「行動の質」があがり「結果の質」も高まっていくそうです。
マネジメントは「行動の質」や「結果の質」ばかりに目を向けがちです。日報で日々の行動を報告させ、目標という名のノルマを課して、どれだけの粗利を稼いだかで社員を評価する。一方で、人間関係の気まずさにうすうす気づいていながら、面倒がって放置しているようなことは、少なからずあるでしょう。
真摯な想いが生きた理念を作る
「関係の質」を高めていくには、理念がただの言葉ではなく、真摯な想いと絶え間ない実践によって企業の血肉となっていくことが大事です。
和菓子の『とらや』の企業理念は「おいしい和菓子を提供する」です。あまりに当たり前ですが、500年これをやり続けた企業ならではの重みがあります。理念は、コピーライターが考えるようなかっこいい言葉である必要はありません。社員一人ひとりが経営理念に意義を感じ、日々の行動に落とし込むことで、組織が活性化していくことが大切なのです。これは現代の経営の大きな課題であろうと思います。
当事務所は広報という立場から、中小企業経営に貢献することを使命としています。経営理念の日々の実践をコンテンツ化して広く発信することで、組織への良い影響を与えることができると信じています。
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