ブランディングはゆっくりと

ブランドほど定義があいまいな言葉もないでしょう。
ある人は「ブランドとはお客様との約束だ」といい、「理想と現実を埋めるものだ」という人や「本質的な差別化のことだ」という意見もあります。どれも正解と言えますし、そもそも専門家でも、ブランディングの定義は異なります。

変わるブランドの意味

『スロウブランディング』は、こうしたブランド論の現状を踏まえたうえで、現代の社会において求められるブランドについて問いかけます。筆者の定義によるとブランドとは集積した記憶であり、ブランディングとは記憶のマネジメントである、とされています。

ドラッガーの有名な言葉に「何によって憶えられたいか、その問いかけが人生を変える」というものがあります。ブランディングも、これに近いのかもしれません。その会社が人々に広く覚えてもらえるのなら、何によって記憶されたいのか。それを突き詰めることが、ブランディングにつながるのでしょう。

本質を掘り下げることで、記憶に残る

ただの自動車メーカーなら、人々の記憶には残りません。それが、世界一安全な車を作ったメーカーであったり、初めて電気自動車を作った会社なら、人々に長く記憶されることになります。筆者はブランドとは、その会社の本質的な存在価値を知り、それを徹底的に掘り下げて、人々の記憶に長く刻まれることだとしています。

企業の本質とは、意外と難しいものです。スターバックスは、自社を「サードプレイス(自宅でもなく、職場や学校でもない、第三の場所)」を提供する企業と位置付けています。この有名なコンセプトは、実は創業から20年も経ってから発見されました。自分たちが、ほかの会社と違うものはなにかを徹底的に考え抜いた結果、出てきたのがこの言葉だったのでしょう。ブランディングとは、自らのうちにあるものであり、安易にシンボルマークなどで作り出すものではありません。

関係性から、在り方へ

ブランディングとは「関係性」の問題として語られてきました。第一想起やマインドシェアといったブランド価値を測る言葉は、自社が他社よりも優れているか、より多く知られているかを課題としてきました。これは高度成長期に生まれたもので、増え続ける需要をいかに確保するかが課題だった時代の考え方です。

現在では、ブランドとは「在り方」の問題として語られるようになりました。すなわちそれは、企業の理念であり、社会的価値に基づいた企業活動のことです。ほかの誰とも違う、自分たちのアイデンティティとはなにか。それが、一人ひとりに落とし込まれ、日々の行動の中で体現していくことがブランディングです。

ですから、現代のブランディングはロゴマークやビジュアルではなく、物語からスタートすべきです。ここでいう物語とは、自分たちの信じる価値を社会に伝わる言葉に変えたもの、と言えます。

広報の価値を、問い直したい

かつては、広報といえばニュースリリースを出したり取材対応をすることが仕事でした。現在では、より経営に近い立場にたち、会社の理念を言語化し、社内外に浸透させていくことが大きな役割となっています。

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