雇用環境がかわり、人材の流動化が進むなか、企業と社員の関係も変わりました。終身雇用が当たり前だった時代委には、人々は組織に忠誠を誓い、その見返りに生活の安定を得ることができました。いまではこうした意識は希薄です。転職は当たり前となり、特に若い世代では、一つの会社で生涯を終えるという感覚はありません。
そうした中、注目を集めているのがインナーブランディングです。
インナーブランディングの定義とは
本書では、インナーブランディングの定義を「社員に理念や企業ブランドの目指す姿が伝わり、1人ひとりがその内容に共感し、自発的にお客さまへの価値提供に向けて行動する。その行動を支援するための全ての活動のこと」としています。社員が企業の理念に共感すると、仕事へのモチベーションを高めるのみならず、自律的に価値を生み出すことができるようになります。逐一報告を求めなくても、組織のために何をすべきかをわかっているため、管理のコストも大幅に下がります。
対外的なブランディングにもつながる
また、社員が企業理念の意味を理解し、自らの言葉でこれを語り、また行動に落とし込めるようになることは、対外的なブランド構築にもつながります。一人ひとりのスタッフは、企業と社会との接点でもあるからです。
スターバックスは、接客マニュアルを作らない一方、店舗のアルバイトには80時間もの研修を施すことで有名です。もちろんこの時間にも時給は発生しますので、決して少ない投資ではありません。研修では、スターバックスの歴史や、企業理念、パーパスなどを多くの時間を割いて学びます。それが、スタッフ一人ひとりが誇りをもって働くための基礎となり、にじみ出る誇りが訪れた人の満足につながり、ブランド資産となって積み重ねられていきます。
社員の人生を有意義なものにするために
ブランド論の大家であるデビッド・アーカー氏は、「強力なブランドを構築するには、まず内部から始めることだ」と語っています。「市場で強いブランドを生み出すためには、社員と事業パートナーがブランドビジョンを理解すると同時に、その実現を意識する必要がある」のです。
マネジメントの視点のみならず、一人ひとりの社員から見てもインナーブランディングがうまくいった組織に属することは、仕事に異議を感じられるといった意味で、人生を有意義なものにするために価値のあることと言えます。
当事務所では、コンテンツという側面から、組織の理念浸透のお手伝いをしています。社内報の発行やトップのメッセージ発信、ブランドブックの制作などを行っています。
コメント