マーケティング活動のみならず、採用や組織文化の醸成などの面でも、企業に情報発信力が求められるようになってきました。これまで、情報発信に積極的ではなかった中小企業やBtoB企業においても、広報は重要な課題になりつつあります。
では、広報に取り組むために、まず何から始めるべきなのでしょうか。
広報の目的は企業理念
企業広報においてもっとも重要なカギを握るのは、その企業が持つ独自の物語です。創業の精神やこれまでの苦労、将来への夢やビジョンなどが構成要素となります。これらは広義の経営理念といえるかもしれません。ただ、企業理念を語ることで、人々の関心を惹くことは簡単ではありません。自分たちの理念を持つことは大切ですが、それは必ずしも社会の関心事ではないからです。
企業理念とその実践が、企業の物語
大切なのは、企業理念とその実践としての日々の活動を物語として伝えることです。例えば、イーロン・マスクは「化石燃料を燃やす文明を、我々の世代で終わりにする」と宣言して「テスラ」を作りました。テスラは、単なる電気自動車を作る会社ではなく、社会を変革することを使命として活動しています。この物語に共感したユーザーにとって、テスラ車は単なる移動手段ではありません。彼らは、イーロン・マスクの壮大な夢をかなえるための仲間の一人なのです。これは、理念と商品が一貫性をもって組み立てられているからこそ生まれる絆です。
しっかりしたストーリーを作る
広報戦略に取り組むにあたっては、理念に基づくストーリーをしっかりまとめることが重要です。企業理念は額に入れて飾っておくものではなく、日々の仕事の中で実践されて初めて意味を持ちます。理念をしっかり確認し、それがどう人々の仕事に落とし込まれているのかを、ストーリーとして表現することが最初の取り組みとなるでしょう。
こうしたストーリーを持つことで、広く展開していくことが可能となります。例えば、インナーブランディングに重きを置くならブランドブックやカルチャーデッキ、社内報などに落とし込んでもよいと思います。また、B2Bの営業であればWEBサイトにブログをアップして、メルマガなどを通じて広げてもよいでしょう。WEB集客を重視するなら、SEOを意識してコンテンツ計画を作ることもできます。ECなら、理念が商品にどう反映されているかを意識すれば、ストーリーを感じさせる紹介コンテンツとなるでしょう。いずれの場合にも、理念を基軸にした一貫性のあるコンテンツ作りが活動の基礎となります。
コンテンツ化とは、もやもやをはっきりさせること
私たちは、企業活動をコンテンツ化することを主業務として活動しています。これはいいかえればモヤモヤしたものをはっきりさせる、ということでもあります。あらゆる企業には理念があり、理念に基づいた活動があり、それが社会から認められているからこそ存在し続けています。その姿を、なるべくわかりやすく言葉や図、映像、写真などで表現することが、企業発信のコンテンツです。広報に取り組むからと言って、急に新しいキャッチコピーやビジュアルを作ることは、お勧めしていません。本来の姿が、きちんと人々に伝わるようにしていくことが大切なのです。
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