つい先日、HONDAがEVからの撤退し、巨額の赤字を計上たことが報じられました。
各国の排ガス規制などの動向からEVの時代が来ると読んだものの、その後、インフレの影響などで規制緩和に流れ、EVへの期待度が下がったことから撤退を決めた、とのことでした。
ビジョンの欠如が、迷いを生む
個人的には、この顛末に日本企業の弱さを感じました。とりわけ深刻なのはビジョンの欠如です。
排ガス規制については、世界中の電気自動車メーカーが、同じ状況に直面しています。
しかし、テスラは電気自動車の開発を止めません。それは「化石燃料を燃やすような文明を、私たちの世代で終わらせる」という強い信念があるからです。こうした態度と比べると、HONDAの態度は優柔不断に見えます。ただの機会主義であり、信念がないから外部環境に翻弄され、右往左往するのでしょう。
ビジョンこそが企業を強くする
戦後すぐの頃、日本は世界で最も貧しい国でした。そうした時代のなか、大きな夢を抱き、明確なビジョンを掲げた企業が多く誕生しました。彼らに共通していたのは、世の中を変革しようとする高い志、忖度せずに意見を出し合うオープンな社風、さらには、一人ひとりの個性を認め、違いを面白がるだけの度量もありました。
いまの日本に、こうした会社はどのくらいあるでしょうか。安定を志向し、変化を恐れ、上司の顔色を窺い、挑戦とは名ばかりの無為な活動に多くの労力を費やして、少しずつ力を失っているように見えます。
企業が野心的な活力を取り戻すために必要なものは何でしょうか。それは、野心的なビジョンです。
信念に基づく絶え間ない改善が、圧倒的な差別化を生む
例えば、Amazonは地球上で最も顧客志向の会社を目指すと宣言しています。
モノを売ることを目的とせず、あくまで顧客がモノを買うことを助けるを役割としています。世界中のあらゆる商品が揃い、比較検討がしやすく、レビューが充実し、スピーディに配送される。Amazonの顧客体験は極めて洗練されており、購入にまつわるストレスを可能な限り減らしています。ビジョンを信じて絶え間ない改善を進めてきたことが、圧倒的な差別化を生んだのです。
本書によると良いビジョンには3つの特徴があります。それは、1.自らが心から達成したいと願う未来である。2.「公共の夢」として人々を巻き込む力がある。3.未来への洞察と自らの信念の上に作られている。という3つです。
Amazonが世界を代表する企業になったのは、まさにこの3つの要素を満たしたビジョンを掲げたからでしょう。
ビジョンを企業活動のエンジンとするために
日本でも、多くの企業がビジョンを掲げています。しかし、本当に心から達成したいと願っているのか、人々を巻き込む力があるのかと言われると、疑問です。多くのケースでは、朝礼で一斉唱和をしたり額に入れて飾っておく程度のものになり、本当の意味で企業のエンジンになっていることは少ないように思います。
当事務所では、企業理念や日々の活動から、ビジョンの掘り起こし、ストーリー化を手掛けています。また日々のWEBの更新やSNSの発信などもすべて、ビジョンに基づいてなされるべきだと考え、トータルでの広報戦略の設計も行っています。
不安定な時代だからこそ、ぶれないビジョンを持ち、絶えず発信することで自社のブランドをゆるぎないものにしていく。それは、成長を目指す際の基本的な戦略だといえるでしょう。
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