リーダーに必要な物語力

組織内におけるストーリーテリングの重要性について語られた書籍です。

中間管理職こそ、物語が大切

本書によると、リーダーに最も求められる資質の一つがストーリーテリング力だといいます。特に、会社のトップはもちろんのこと、管理職にこそ物語の力が必要だとしています。

かつて、中世ヨーロッパでは、聖書を読めるのはごく限られた司祭だけでした。やがて司祭たちは、聖書の言葉を都合の良いように解釈し、人を支配し私腹を肥やすようになりました。これは、ルターの宗教改革まで、長く続きました。

実は、同じようなことが現代の組織でも起きているといいます。

通常、経営の意思決定にアクセスできるのは、ごく一部の幹部だけでしょう。もし彼らがそれを特権とみなし、自らの都合の良いように情報を隠したり、ねじまげて伝えれば、会社はおかしくなっていきます。

たとえ悪意がなかったとしても、管理職の情報伝達力不足は機能不全を招きます。情報共有がないのは論外としても、単なる伝書鳩のようなレベルであれば、トップの想いは単なる指示になり、現場の当事者意識が失われていきます。やがて社員は、言われたことをやるだけの作業要員となり、自らの創造性を信じる人、能力の高い人ほど嫌気がさして辞めていきます。

情報ではなく、ストーリーを伝えたい

本書ではリーダーに必要なのは、情報伝達ではなく、編集翻訳力だとしています。それは、経営の方針やトップの言葉を、スタッフ一人ひとりの立場や業務範囲に即して意味付けして伝える力のことです。それがまさに、ストーリーテリングの能力です。

私の体感ですが、経験豊かな管理職でもストーリーテリング能力が高い人は、さほど多くないと感じています。プレイヤーとしては優秀でも、管理職としては無能というケースは少なくありません。それは若いころプレイヤーとして実績を上げた人が評価され、課長や部長を務めるケースがほとんどだからでしょう。

トップが直接発信することも解決策に

ベストの施策は、管理職がストーリーテリング力を鍛えることですが、もう一つの解決策はトップが直接想いを伝えることです。朝礼で社長が訓辞をするケースは多いと思いますが、いまでは社内メールやSNS、社内報、社長ブログなど多くの発信手段があります。

企業の理念、経営方針、事業や施策、新たな取り組みなどは、一度発信しただけではなかなか浸透していきません。方針の意味、施策の意味をトップが繰り返し発信することで、企業の考え方や方針が定まっていくというのは、大いにあると感じています。

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