『恐れのない組織』は、心理的安全性について書かれた、最もわかりやすい入門書のひとつでしょう。
生産性を左右する、心理的安全性
従業員、特に若手やパートスタッフが恐れず発言できているか、会議の場で様々な意見が交わされているか。こうしたことが、我々の想像をはるかに超え、組織にとって死活的な課題であることがわかっています。
心理的安全性とは、すべての人が自分らしくいられる組織のことを指します。それはプレッシャーのない「ぬるま湯」的なものではありません。むしろ、健全な対立があり、様々な意見の相違があります。そうでありながら、対立や違いをエネルギーに変えて前進していける組織のことを言います。
Googleの大規模調査の結果
Googleの大規模な調査によって、チームの生産性を左右する5つの重要な要素が発見されました。それは「心理的安全性」「相互信頼(約束を守ること)」「構造と明確さ(明確な目標、明確な計画、明確な役割分担)」「仕事の意味(企業理念、パーパス)」「インパクト(効果の高い仕事)」の5つです。
このなかで際立って成果との相関が高いものが「心理的安全性」でした。さらに心理的安全性を高めることは、ほかの4つの要素を底上げする効果もあることから、二重の意味で大切なものだと分かったそうです。個々の能力値よりも、チームの雰囲気がはるかに重要なのです。
心理的安全性とは、企業の文化である
個人間における「信頼」と違い、「心理的安全性」とは組織の文化として現れます。誰もが、自分の意見を率直に言葉にでき、失敗について共有し、互いに教訓を得るような文化が組織の生産性を高めます。
反対意見や失敗はネガティブなものととらえられがちですが、むしろ意見の対立は多様な視点があることの現れであり、失敗から教訓を得る姿勢は挑戦的であることの現れです。成長企業には対立や失敗をエネルギーに変える社風があり、それを支えるものが心理的安全性です。
企業の不祥事の影には沈黙がある
心理的安全性が十分でない場合、多くの企業では「沈黙の文化」が生まれます。思っていることを口にできなくなり、問題や課題が先送りされていきます。それは、じわじわと蓄積されて、やがて壊滅的な事態を招くでしょう。かつて大事故や不祥事を起こした企業を調べると、かなりの確率でこうした「沈黙の文化」があったそうです。
良い企業文化を育むことは、一朝一夕ではできませんが、広報という立場から貢献できることは少なくないと考えています。広報は、企業の存在価値を明確にし、日々の行動と理念を結び付けて物語として表現します。それは社内外に共感を育てることができます。結果だけを知らされるのではなく、その意図、理由、関わった人の想いが共有されることは、違う意見や失敗の見方を変え、多様性を認める企業文化を育むのです。
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