本質をとらえた言葉は、企業を正しい方向に導く。
『言葉を武器にする経営』は、ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」やタウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」などのコピーで知られる梅田悟司氏の著作です。著者の主張を私なりに一言にまとめると、冒頭の一文になるでしょうか。
経営に言葉の力を
経営会議などで、「言葉」が議題に上がる機会は意外と少ないように思います。企業理念や社訓はあっても、朝礼で唱和するとき以外はほとんど思い出されないのが現状でしょう。しかし、著者の主張する「言葉の力」の大きさを考えると、これはもったいないことかもしれません。
梅田氏は言葉の役割を、会社がすでに持っている想いや強みといった漠然としたものに、明確な輪郭を与えることだとしています。強みは、言葉にすることで本当の強みに変わるのです。
言葉にすることで志が固まる
私自身にも思い当たることがあります。何かを言葉にしようとすると、どうしても抜け落ちる部分や、しっくりこない部分が出てきます。そこで妥協せず、ぴったりの言葉を探し続けるうちに、本当の想いや強みが見えてくる。そんな経験を何度もしてきました。
出版社に勤めていた時代、経営者と何時間も話し合い、その想いを聞き、言葉に落とし込む仕事をしました。自分では良い文章になったと思っても、「何かが違う」と何度も修正を要求され、ようやくOKを貰った時に、「俺の言いたいことを、俺より上手に言葉にしてもらった」とほめていただいたことがありました。トップの漠然な思いが言葉になることで確信に変わったのであれば、作業者としてはこんなにうれしいことはありません。
プロセスも大切にすることで生きた言葉になる
本書では、言葉の価値を作るには、それが生まれるまでのプロセスや価値観を社内で共有することが大切だとしています。完成した言葉を上からおろすだけでは、社員一人ひとりが自分の言葉として受け取りません。議論を通じて一人ひとりの想いの輪郭がはっきりし、細かなズレが修正され、本当にしっくりくる言葉を見つけるからこそ、言葉に命が宿るのです。
本書からは離れますが、AppleのThink Different、NikeのJust Do It、ユニクロのLifeWearのように、社名と同じくらい知られる言葉もあります。こうした言葉は、社外に向けたものであると同時に、社内の人たちに進むべき方向を示しています。まさに、「本質をとらえた言葉は、企業を正しい方向に導く」実例と言えるでしょう。
言葉を持つことが、会社を前進させる
最近、地元の企業から人手不足や採用難の悩みをよく聞くようになりました。一方、社員がなぜその会社で働き、何を目指し、どんな想いで仕事に向き合っているのか。それを明確な言葉で語れる会社には、人が集まっているようにも見えます。本書にも、言葉と行動は常に一致させるべきだという指摘がありました。たとえば「困難を工夫で乗り越える」という社訓があるなら、採用試験でも「困難を工夫で乗り越えた経験はありますか」と問うべきです。そうすることで、理念にあった人を採用することができるのです。
当事務所『PAPERBACK』は、広報業務の外部パートナーとして中小企業を支援しています。広報とは「経営の言語化」だと考え、会社の持つ想いや強みを言葉にし、物語として発信するお手伝いをしています。言葉の力を経営に取り入れたい方は、お気軽にご相談ください。
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