『SNSマーケティング新戦略大全』は、著者の豊富な実務経験に基づいて、SNSマーケティングに取り組む企業がどのような活動をしているかを紹介しています。SNSが極めて重要視される現状を知ることができます。
各種のデータを見れば、現代人が最も多くの時間を費やしているものがSNSであり、情報収集の主力となっていることがわかります。SNSはもはや社会インフラであり、「やるか、やらないか」を検討するフェーズは終わりました。すべての企業にとって、向き合わざるを得ない課題となっています。
しかし、いざ始めても「フォロワーが全く増えない」「売上につながらない」と悩む企業は後を絶ちません。現在のSNS運用は片手間でやれるほど甘い領域ではなくなっており、戦略とスキルがなければ成果には結びつきません。
SNS運用の厳しい現実と、これからの時代に求められる情報戦略について考えました。
限られた「可処分時間」の奪い合い
調査によるとSNSの利用時間は、1日あたり2時間超とかなり長い一方で、ここ数年では頭打ちとなっています。 その一方で、Threads(スレッズ)やBeReal(ビーリアル)といった新しいプラットフォームが台頭し、参入する企業アカウントも増え続けています。
つまり、「ユーザーの限られた可処分時間を、膨大な数のライバル企業と奪い合う」という、極めて難易度の高いゲームが始まっているのです。若手社員が兼務でSNS担当になっていたり、明確な戦略を持たず、なんとなく更新しているだけのアカウントでは、この激戦を勝ち抜けないのは当然と言えます。
「フォロワー数=勝ち」の時代は終わった
多くのSNSで「レコメンド機能(おすすめ表示)」が急速に強化されています。 かつては「フォロワー数が多いアカウントが強い」という時代でしたが、今は違います。
いくらフォロワーが多くても、プラットフォームのアルゴリズムに「良いコンテンツ」と認識されなければ、ユーザーの画面には表示されません。逆に、コンテンツが優れていれば積極的に表示されていきます。良く言えば、後発でも戦える環境になっているのです。ではアルゴリズムにとって、良いコンテンツとはなんでしょうか?
アルゴリズムが評価する「良いコンテンツ」とは、「ユーザーにとってメリットがある情報」のこと。
エンゲージメント率など、アルゴリズムが重視する指標はいくつも提示されています。それらも突き詰めていえば、ユーザー価値をデータから判断する基準だといえます。すべてはユーザーが判断するのです。ですから自社が伝えたいことを一方的に発信してもだめで、社会から求められていることを分析し、自社の営業戦略と整合させられるプロの視点が不可欠なのです。
先進企業は「5〜10名の専門部隊」で取り組んでいます
SNS戦略で実際に成果を出している企業は、運用の重みを十分に理解しています。そのため、5名から10名規模の「専門部隊」を組織し、日々の数値データを睨みながら運用を進めています。
- アカウントの戦略目標を立てる
- KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)を設定する
- 日々の投稿でテストと改善を繰り返し、戦略を進化させる
これだけのプロセスを「通常業務の合間」に行うことは不可能です。
また、成功しているアカウントほど、担当者の「センスや価値観」に頼っていません。徹底的に他社の成功事例を研究し、勝ちパターンをロジカルに分析して自社に応用する(うまく真似る)ことで戦略を進化させています。
企業の知名度に応じた「情報戦略の最適化」が必要
SNSと一口に言っても、自社の認知度やブランドによって戦い方は変わります。
すでに知名度がある企業であれば、Instagramを「デジタルカタログ」と割り切り、新商品の告知に特化する戦略も有効でしょう。そこまで知名度のない中小企業であれば、インパクトのある縦型動画でリーチを広げたり、お役立ちコンテンツでファンを集めるなどの戦術が求められます。ブランディングを重視して、WEB、SNS、カタログなどを一つのトーンで揃えていく、という企業もあります。
戦略を定めるには、ベンチマークを探し、成功事例に学ぶことも有効です。一方で、安易に流行りのテンプレに乗っかってしまうと、ブランドイメージを損ねるリスクもあります。会社の数字を動かすには根気強い取り組みが必要で、現状の把握と明確な目標、アカウントの運用技術とコンテンツ制作のスキルの掛け算がなければ戦略を機能させることはできません。
総合的な「情報戦略」を組み立てる覚悟を
今の時代、「情報戦略」の視点は欠かせません。これはすべての企業に問われています。
現代の情報戦略とは、WEBサイトの構築、複数のSNSアカウント運用、そしてリアルなパンフレットの制作などを統合的に運用するスキルです。これは高度で難しいだけでなく、前例がなく経験者もほとんどいない仕事です。「若い社員やなんとなく詳しそうな人にまかせてしまう」ということでは、成果に結びつけることは無理でしょう。SNSを事業を成長させるための投資対象と捉え、戦略的・組織的に取り組む覚悟を決める時が来ています。
コメント