AI時代について

AIが話題の中心になりました。

いまもAIをあまり使っていない、使い方がわからないという人もいるかもしれませんが、焦る必要はないと思います。いずれは使わざるを得ない日が来ますし、その頃には誰もが自然に使えるくらい身近なものになっています。

AIはやがてインフラになります。あらゆるものに組み込まれ、水道や電気のように、使っていることすら意識されないくらい、当たり前のものになっていきます。

これからAIで多くの仕事が失われると言われています。それは事実です。ですがそれは、AIに可能性があるからではありません。むしろ限界があるからです。仕事を奪うのは、代替装置にすぎないからです。

自動車ができたとき、馬車の役割はなくなりました。それは車が馬車を代替したからです。大きな進化ではありますが、無から有を生む革命ではありません。移動や運搬という行為はすでにあったのです。

AIも同じです。複雑な計算、市場調査、レポートのたたき台や構成案、イラスト制作など、これまで人間が時間をかけてやっていた仕事をAIが担うようになるでしょう。ですが、新しい価値が生まれるわけではありません。起きていることはリプレイスです。代替装置だから、人々の仕事を奪うのです。

私は、これからの時代、AIによって伸びるのは「ビジョン」を持つ人だと思っています。ビジョンとは、私たちが生きて、いつか到達したいと望む目的地のことです。AIが生まれ、私たちの乗り物が馬車から自動車に変わったとしても、目指す場所は変わりません。たどり着くスピードが速くなり、より遠くまで行けるようになったことが大きな変化ですが、その恩恵を受けるのは目的地がしっかり見えている人です。そしてビジョンがなければいずれ道に迷うのも、同じことです。

私の考えるビジョンとは、「社会から求められていること」×「自分の好きなこと」×「自分の得意なこと」の3つが重なる場所にあります。そして現代では、「社会のニーズ」も、重要ではなくなりつつあります。ネットの世界では、10万人に1人のニーズしかなくても、スモールビジネスとして成立しうるからです。つまり、ビジョンとは「やりたいこと」と「できること」を明確にすることと、それを社会に接続する努力の問題といえるでしょう。

自分の好きなことと得意なことを見つけるには、内面との深い対話が必要です。それは孤独な作業になります。ですから、ビジョンは孤独に耐えられる人が得られます。孤独とは、自分の価値を他人の評価に依存しない、という態度です。AIの時代に、人はもっと孤独で自由な存在になるべきです。孤独な人は新しいテクノロジーに導かれて、人生の目的地へと到達するでしょう。

またさらに大切なことは、構造を知ることです。

知識にはフローとストックがあります。フローとは日々流れていくニュースのこと。SNSや新聞、テレビなどはフロー情報の宝庫です。逆にストックとは蓄積されていく情報のことです。それは構造を捉えることです。知恵と言い換えてもいいかもしれません。

構造を知ることは、世の中を知ること、知恵を得ることです。

ニュースを見れば、外国為替で円高やドル安の情報が日々流れてきます。これを知ることは大事ですが、構造を理解すると見方が変わります。なぜ為替が動くのか、基軸通貨とはなにか、そもそも金本位制がなぜ生まれ、なぜなくなったのか。ニクソンショックとは、貨幣経済とは、国際金融とは。その意味が分かっていると、日々の為替の変化が、次に何を引き起こすのかがわかるようになります。

構造を理解するには、読書が有効です。

書籍には圧倒的な情報量があり、わかりやすくまとめられています。読書とは、著者が長い時間をかけて得た思考のプロセスを追体験する行為です。文章を読むには、自分の頭で考え理解する必要があります。読書とは考えるための道具であり、気づきを得るための行為です。読書を通じて構造を知るということは、知恵を身に着けることにつながります。知恵は、自ら学ぼうとするものだけに授けられるのです。

いま、WEBや動画で様々な情報が手に入るようになりました。読書の習慣を持つ人は減っています。これはチャンスかもしれません。構造を知るからこそ、日々の変化の意味と、次の予測が可能となります。予測ができない人は、動けません。そして、動いている人をリスキーだと感じます。しかし逆です。リスクを犯しているのは、読書をせず動き方を知らない人たちです。

私たちは、孤独で自由な航海に出る船のようなものです。 必要なのは明確な目的地、海図、コンパスです。目的地とはビジョンであり、海図とは構造であり、コンパスは情報です。情報はいつでも手に入り、乗り込む舟はAIによってかつてなく高性能となりました。これまでにない、大胆な冒険に出かけられる時代になったのです。

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